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戦乱の邪馬台国~失われた航跡

魏使がカラフト経由で邪馬台国にやってきた新説「戦乱の邪馬台国」を公開。

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一 「新説」の構築に向けて

「次は邪馬台国の謎に挑んでみればどうか」
 と提案してくれた。
 これを聞いたとき、私の心はほとんど動かなかった。その理由は二つある。
 まずは、これまで読んだ邪馬台国に関する多数の本は、そのいずれもが納得のいく結論を出していないことである。何年にもわたって専門に研究されてきた学者や研究家たちでさえ、十分な説得力をもってその謎を解明しているとはいいがたい。そこにはもはや文献研究による議論が行き詰まったある種の閉塞感さえ漂っている。そのような難解きわまる謎に、たんに歴史に興味があるというだけの私が挑むことなど、考えただけでも身の震えを覚えたからである。
 いま一つの理由は、邪馬台国の謎解きというものが、これまで取り組んできた拙著の内容とあまりにかけ離れているからである。たとえばゴッホの生涯を書いたとき、あらゆる資料から可能な限り正確にゴッホの生き様を捉えて再現しようと努めた。徹底的に主観を排除し、客観的なゴッホ像を描くことに専心して、ほぼ実像といっていいゴッホの評伝を仕上げることができた。六百六十二通におよぶゴッホ自身の書簡をはじめとする膨大な資料が、それを可能にさせた。ところが、邪馬台国の謎解きの場合は、それとはまったく事情が異なり、なによりも、残された史料があまりに少ない。だから、邪馬台国を扱うためには、そのような乏しい史料を基礎にして、大胆な解釈と仮説、想像が必要で、そこでは思い切った主観の展開が要求される。邪馬台国に関するこれまでのすべての書は、著者自身が意識していたかどうかはべつにして、希少な材料を駆使して確固とした理論的裏づけを行おうとするのだが、最後は決定的な材料不足に陥って、独自の大胆な解釈や飛躍した想像を構築し、それぞれの主観を思い切って打ち出した結論を導き出している。このようなアプローチ手法は、これまで私が採ってきたそれとはまったく異なるものであり、むしろある種の推理作品を作り上げるようなものだから、その意味で、「私にはとても手に負えない」と思ったのである。
 ところが、「次は邪馬台国の謎に挑んでみればどうか」という提案に接してからは、どうも落ち着かない日々が続いた。そもそも私は、少年のころより歴史が大好きで、その傾向は今になっても衰えをみせていない。そして、天性といっていいその興味が右の提案に接して一気に顕在化してきて、どうにも「邪馬台国への挑戦」の誘惑に耐えきれず、とうとう「やってみるか」と決意するに至った。
 それからというもの、機会があれば邪馬台国関連の本を読むようになって、気がつけば、その世界のかなり深い部分にまでのめり込んでしまっていた。いったん突進を始めた興味の勢いは止まるところを知らず、やがては、これまで思いもつかなかった一つの仮説にたどり着いた。それは、過去の邪馬台国の諸説に、おそらく一度も登場したことのないものである。この仮説こそが、いっそう私を邪馬台国の謎の解明に引きずり込むことになり、やがては「北方迂回ルート」と称する魏使がカラフト経由で邪馬台国にやってきたという「新説」を導き出すことになった。とはいっても、私は古代史や考古学あるいは古代文献史など、いわゆる学問の専門家ではなく、一個の著述家にすぎない。だからこの「新説」は、専門家や研究者の方々から拒絶され、おそらく奇想天外な「書き物」として扱われることになるだろう。しかし、先ほども述べたように、邪馬台国に関してはとにかく現存する史料が少なく、これを研究するには、わずかな史料を起点とした大胆な解釈と仮説、想像が必要とされる。ということは、そこにはもはや専門家や素人といった境界は存在せず、興味あるすべての人に対して門戸が開かれているといっていい。そこに、私のような「素人」でも参加できる余地が残されている。
 ともあれ、本書において私が提唱する「北方迂回ルート」は、これまで長年にわたって議論され続けてきた「邪馬台国の謎」についての一つの解答だと思っている。これを正とするか邪とするかは、読者諸氏のご判断にお任せしたい。
  1. 2011/03/15(火) 12:57:54|
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Author:亥辰舎いしんしゃ
戦乱の邪馬台国~失われた航跡

著者:野村篤
カバーイラスト:皇なつき
発行:亥辰舎
定価:1,500円

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